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新型インフルエンザ流行と広報活動の取り組み
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
新型インフルエンザ流行と広報活動の取り組み 2009/11/10
1.流行が拡大する新型インフルエンザ
2.行政・民間企業による感染防止への取り組み
3.予想される広報・PRツール
1.流行が拡大する新型インフルエンザ
1−1 新型インフルエンザとは
 2009年春以降、メキシコで豚インフルエンザに感染したと見られる患者が多数発生しました。その後の調査により、このインフルエンザがヒト―ヒト間で感染するウイルスであることが発覚しました。
 メキシコから始まったこの豚インフルエンザ(H1N1)(以下、新型インフルエンザ)は、瞬く間に世界中に広まり、現在も感染が拡大しています。
 日本国内でも2009年の5月に、感染者が見つかりました。その後、感染者は増え続け、国内における新型インフルエンザの推計患者数は、全国で約83万例に増加し、7月以降の累計は、317万人にのぼると発表されました。
 また、正確な感染者数は明らかにされていませんが、2009年10月9日現在、世界191の国と地域から、37万5,000例(※)を超える新型インフルエンザ感染例と4,500例の死亡者(国立感染症研究所調べ)が報告され、感染者は現在も増加の一途をたどっています。
 新型インフルエンザの具体的な症状は、報告によると、突然の高熱、咳、咽頭痛、倦怠感に加えて、鼻汁、鼻閉、頭痛などが発症するといわれ、症状は季節型インフルエンザと似ているといわれます。異なる点としては、季節型インフルエンザと比べ、慢性疾患がある場合は呼吸器系症状が急激に悪化する可能性が高いことが報告されています。

(※)多くの国々が個別の症例報告、特に症例別の報告を中止しているため、報告数は実際の症例数よりもかなり少ない報告数となっています。
●定点サーベイランスによる現状とインフルエンザ様疾患発生報告
1−2 これから予想される流行
 新型インフルエンザが人類共通の脅威であることから、世界中で感染の状況を認識しやすいようにWHOは、新型インフルエンザの流行の状況を6つのフェーズに分けて発表しています。現段階は、流行を最高ランクであるフェーズ6(効率よくヒト―ヒト感染が確立)の状態であるとし、世界に向けて注意を呼びかけています。今後、パンデミック(※)が終息するまでに、世界で3人に1人が感染すると予想され、約20億人の感染者がでると試算しています。
 日本では、厚生労働省の発表によると、流行が拡大した場合、国民の2割が発症すると想定されています。その場合、約38万人が入院、約3万8,000人が重症化するといわれ、ピーク時には、1日に約76万人が発症すると予想されています。
 さらに、WHOによると、今回の新型インフルエンザのような新しいインフルエンザウイルスが発生した場合、製造に5〜6カ月かかるといわれるワクチンの不足が世界中で危惧されています。

(※) パンデミック(汎用流行)・・・限られた期間に、特定の感染症が世界的に大流行すること。近年に発生したパンデミックは、1918〜1919年に世界で大流行したスペイン風邪(インフルエンザ)、19〜20世紀に流行したコレラなどがある。
●WHOによる「世界インフルエンザ事前対策計画における警戒フェーズ」
2.行政・民間企業による感染防止への取り組み
2−1 行政機関の対策
 流行が拡大する中、政府は流行の拡大を最小限に抑えるために、さまざまな取り組みを行っています。
 その取り組みの中心的な役割を担う厚生労働省では、インターネットを通じて、国民に新型インフルエンザの予防方法や感染状況を随時発信するほか、全国の医療機関・医療品メーカー用にガイドラインを策定し、推進しています。その中で、ぜんそく患者や糖尿病患者、血糖値の高い方など、感染すると症状が重症化しやすい人たちに向けた情報の発信、小児などへの予防接種のお知らせや、その際にかかる費用に対しての補助制度などの対策も実施しています。外務省では、海外渡航者の検疫方法の強化や、渡航先のインフルエンザ感染情報の公表などを行っています。
 一方、小児など若年者ほど新型インフルエンザに対する免疫がなく、流行が急激に広まっています。文部科学省では、若年者の集まる小・中学校などに向けてインフルエンザ流行時のガイドラインを策定しています。
●厚生労働省 新型インフルエンザ感染予防ポスター
●厚生労働省 新型インフルエンザ感染予防ポスター
2−2 地方自治体の対策
 流行の拡大を防ぐためには、地方自治体による地域に密着した対応も重要になってきます。若年者の感染率が高い例を挙げるまでもなく、流行拡大の場所として学校など若年者が集まる施設(保育園・幼稚園、小・中学校、高校、大学)が指摘されています。地方自治体では、流行に合わせて休校措置を図ったり、公共機関、医療機関、民間企業へ対応を指示するなど、新型インフルエンザの拡大を最小限に抑える措置を講じています。
 具体的な例として、群馬県が新型インフルエンザ予防や対処法をまとめた家庭保存版リーフレットを作成し、新聞の折り込みで約74万6,000世帯へ配布するなど、住民へ向けた情報発信も行っています。
 東京都においても、インターネットではもちろんのこと、新聞広告・パンフレットなどで感染の状況や予防法を紹介するほか、相談センターなどでの案内も実施しています。
●群馬県が配布している新型インフルエンザ広報物
【表面】   【裏面】
●群馬県が配布している新型インフルエンザ広報物   ●群馬県が配布している新型インフルエンザ広報物
●世田谷区が配布している新型インフルエンザ予防パンフレット
【表紙】   【表4】
●世田谷区が配布している新型インフルエンザ予防パンフレット   ●世田谷区が配布している新型インフルエンザ予防パンフレット
2−3 医療関連メーカーの対策
 2009年の9月22日に開かれた厚生労働省の「新型インフルエンザ専門会議」では、不織布マスクを家庭で1人当たり20〜25枚備蓄しておくことが望ましいという意見がありました。その後、厚生労働省は、日本衛生材料工業連合会、全国マスク工業会に向けて、マスクなどが円滑に流通されるよう通達を出しました。
 それを受けて、業界最大手メーカーが新商品の超高機能マスクを発売したほか、マスクメーカー各社も、続々と新商品を発表しました。
 また、消毒液やうがい薬の製造会社も新型インフルエンザ対策用として新たな商品を発売するほか、セキュリティサービスを提供する警備会社も、企業の従業員向けに立体マスクや液晶体温計、手指消毒液などの新型インフルエンザを予防する商品をワンパックにおさめた新型インフルエンザ対策パックの販売に乗り出しました。
 しかし、インフルエンザ対策商品に対し、現段階ではさまざまな意見があります。とりわけマスク着用に関して賛否両論があり、「着ければ安心という意識を持たないほうがいい」「ウイルスが髪や衣服などに飛び散っている可能性もある」「季節性インフルエンザのウイルスは、不織布マスクの表面上で8時間も感染力を持った状態が続いた」など意見が飛び交い、果たして効果的な対策かどうか、真相がつかみにくいのが現状です。
 一方、海外に目を向けてみると、米国では、「目が露出している以上、感染は防げない」「マスクには効力がない」「手洗いがおろそかになるほうが問題」と指摘している専門家もいます。
 全国マスク工業会の見解では、マスクの着用に関してはある程度の効果は期待できるが、不織布マスクを着用してもウイルスを完全に吸い込まないようにすることはできない、と伝えています。
3.予想される広報・PRツール
 平成21年10月現在、新型インフルエンザのワクチンは、10月中旬から医療従事者、11月から妊婦や持病のある人、12月後半から1歳から小学3年生の小児に接種をすることになっています。しかし、現状、充分にワクチンが行き届いてなく、地方自治体の窓口に住民からの相談が殺到するなど、新型インフルエンザの流行に対して、政府、地方自治体の対応が遅れていることは否定できません。
 また、情勢も刻々と変化するだけに、政府は情報が追加されしだい、逐一国民に伝えていく必要があります。現段階で、行政、地方自治体、民間会社の情報は、一元化されておらず、国民が情報を入手する際には、インターネットなどを駆使し、自ら集めなければなりません。
 群馬県など先手を打って対策を打ち出した地方自治体もありますが、感染拡大を抑えるためには、正確な情報を発信する必要があります。そして、国民一人ひとりに新型インフルエンザの状況を随時知らせていくことが感染を広めないための効率的な手段と思われます。
 一例として、文部科学省では、感染者が出たときの対応マニュアルを、学校の教師向けに配布すると発表しました。
 一方、経済産業省や外務省などは現在、インターネット上での情報提供に頼っているのが現状です。今後は情報を一つに集約・発信する広報ツールをつくる必要があると考えられます。
 いずれにしてもこのまま新型インフルエンザの流行が急速な広がりをみせる中で、政府が正確な情報を発信できなければ、国民が安心して暮らせないばかりか、経済活動の停滞も免れません。学校や医療機関なども情報を共有し、正確な情報を伝えていく必要があります。
 具体的な対策として、公共施設や大勢の人が集まる商業施設など目に留まりやすい場所に広告を掲載したり、新型インフルエンザの予防を啓発するイベントやセミナーなどを実施するなどの対策が必要となってくると思われます。
 今後、新型インフルエンザを取り巻く広報活動は、冬に向かってさらに高まってくると思われ、そういった中で、正確な情報を発信する印刷媒体を中心とした情報発信ツールの需要は、ますます増えると予想されます。
●新型インフルエンザ対策まとめ
 
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