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印刷業界とエコビジネス<第1回>
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
印刷業界とエコビジネス<第2回> 2008/12/10
1.印刷各社が取り組む環境配慮とグリーン調達・グリーン購入
2.環境配慮印刷マークと最新の印刷システム・工程
3.発注者側から見たグリーン購入の動向
1.印刷各社が取り組む環境配慮とグリーン調達・グリーン購入
 CSRレポートを発行している印刷会社の多くは、環境配慮基準やグリーン調達・グリーン購入のガイドラインを独自に制定しCSRレポートで公表しています。
例えば業界大手のトッパンでは、撮影から製本・加工に至る工程や資材の具体策を策定(表1)。用紙やオフセットインキなどのグリーン調達から、社内のコピー機、事務用品などに至るまでグリーン購入基準を具体的に定めています。また発行しているCSRレポート自体が環境配慮型印刷サービスの中から、さまざまな技術や原材料を積極的に採用して制作したものでトッパンの“エコ印刷の集大成”となっています。
また、2000年9月に総合印刷工場として国内初の「ISO14001」認証を取得した共同印刷(株)(※1)では、環境ビジョン2010でグリーン調達の目標値などを公表し、環境配慮に積極的に取り組んでいます(表2)。
その他、エコアクション21(※2)に認証・登録している全国68の印刷事業者も厳しい審査を経て、環境基準の構築を推進しています。
例えば、首都圏にある中小印刷会社(従業員40名規模)では、製品1tあたりのCO2排出量(112kg-CO2以下)や紙回収量(206kg以下)、UVインクの使用量(全体の40%以上)などの年間目標値を設定し、環境保全に取り組んでいます。また休憩時間の照明消灯や印刷・加工機の電源オフ徹底などによる電気使用量の削減、営業車の低公害車への切り替え、UVインキおよび関連機材の導入などの身近な取り組みも積極的に展開しています。
こうした各印刷会社の動きをみていると、グリーン調達・グリーン購入への取り組みは、会社の規模にかかわらず、業界全体の動向として着実に拡大しつつあるようです。

※1 共同印刷(株)の五霞工場(茨城県五霞町)と共同印刷製本(株)は2000年9月に「オフセット・活版・グラビア印刷による出版・商業印刷物の印刷並びに製本」において、環境マネジメントシステムの国際規格である「ISO14001」の認証を取得。
※2 エコアクション21は1996年に旧環境庁(現環境省)が策定した、いわば「ISO14001の中小企業版」です。その後、社会の動向にあわせ改訂を重ねながら2004年10月から、ガイドラインに沿って環境保全活動に取り組む事業者を認証・登録する「エコアクション21認証・登録制度」が始まりました。中小企業が取り組みやすい費用と必要最小限の運用項目で構成されています。主な取り組みとしては、環境経営システムを構築し、環境への取り組み(CO2、廃棄物、水使用量の削減など)を行ない、環境活動レポートを定期的に作成して公表するというものです。2年ごとに登録更新を行ないます。
表1 トッパンによるグリーン調達基準の例
表2 共同印刷グループの環境ビジョンの例
2.環境配慮印刷マークと最新の印刷システム・工程
 印刷システムは、製版、印刷機・印刷技術、インキ、印刷用紙とそれぞれ独自に進化を続けています。これらの資材や工程に応じて、さまざまな環境配慮印刷マークの登録・認証制度が制定されています(表3)。
印刷業界が取り組んでいる環境配慮印刷の例として、JFPI(日本印刷産業連合会)による「GPマーク(グリーンプリンティングマーク)」や、E3PA(環境保護印刷推進協議会)による「クリオネマーク」、日本WPA(日本水なし印刷協会)による「バタフライマーク」などがあります。
「GPマーク」は、2006年にオフセット印刷サービスを行う工場・事業所を対象に開始された認定制度で、用紙、インキ、製本・加工資材など、印刷製品を構成するすべての資材と、製造工程全体にわたる総合的環境配慮マークとなっています。2008年にはシール、グラビア、スクリーン印刷の認定制度が加わり、2008年9月末で127工場が認定を受けています。
図1 JFPIの「GP(グリーンプリンティング)マーク」
図1 JFPIの「GP(グリーンプリンティング)マーク」
 「クリオネマーク」は、オフセット印刷における製版〜印刷の生産工程から「空気」と「水」を汚染するVOC(揮発性有機化合物)や有害廃液を出さないことを目的とした認証システムです。登録基準には「Silver」「Gold」「Gold+」の3つのクラスがあり、刷版にCTPプレートや無処理CTPプレートを使用すること、印刷機の湿し水に含まれるIPA(イソプロピルアルコール)の使用を抑えること、インキは大気や人体への影響が少ない植物油の含有率を高めることなどが認証の条件となっています。2008年3月末で約140社が認証を受けています。
図2 E3PAの「クリオネマーク」
図2 E3PAの「クリオネマーク」
 「バタフライマーク」は、印刷中に湿し水を使わない「水なし版」を使用し、印刷には湿し水・IPAを使わない「水なし印刷」を対象にした認証制度で、現在173社の印刷事業者が登録しています。
「無処理CTP」は、現像処理や廃液処理に伴って生じていたCO2発生量が大きく削減できることから、今後さらに普及が進むと見込まれています(図4参照)。
図3 日本WPAの「バタフライマーク」
図3 日本WPAの「バタフライマーク」
図4 製版プロセスの進歩と環境負荷(CO2)の低減
3.発注者側から見たグリーン購入の動向
  環境省がグリーン購入の普及のために行った調査によると、地方公共団体では「グリーン購入に際して参考にしているもの」として、「メーカー等が配布している製品カタログ・パンフレット等」「環境ラベリング制度(マーク等表示)」「グリーン購入法に基づく環境物品等の調達の基本方針」などを挙げています。また、参考にしている環境ラベリング制度などは、「エコマーク」が最も高く、次いで、「グリーンマーク」「再生紙使用マーク」の順になっています(表3)。
一方、民間企業に対する調査では、平成18年度に「グリーン購入を考慮している」または「検討している」が約8割に達し、「ガイドラインまたはリストを作成し選定している」と回答した企業が約半数に達しています(表4)。
表3 地方公共団体がグリーン購入に際して参考にしているもの(複数回答)
環境ラベリング制度(マーク表示等)の内訳(複数回答)
表4 民間企業におけるグリーン購入の取り組み状況(グリーン購入の実施企業及びその割合)
 ただ、印刷業界で使用している「環境配慮印刷マーク」は、まだ広く一般には浸透しておらず、これらの認証マークを受けるには設備投資やグリーン購入などが伴います。このため、顧客の中には認証マークを使用したいが印刷価格がアップしないかと懸念する場合もあるようです。
「クリオネマーク」の認証機関であるE3PAでは、「クリオネマーク」を使用することで印刷業界の“製品価格値下げに歯止めをかける”提案営業を推進しています。しかし、認証を受けた印刷会社の中には“印刷会社はサービスを提供する会社である”という前提で特に料金を設定しない場合も出てきています。マークの料金を付加することなく、サービスの一貫として提案することで安定価格での見積もりが可能となり、継続受注の実現につなげているのです。
最近ではこうした環境の認証を取得している印刷会社でなくては入札に参加できないケースも出始めています。グリーン購入・グリーン調達が一般化するのはもう時間の問題といえるかもしれません。
今後はさらに印刷物のムダの排除も重要な課題となってくることでしょう。たとえすべての印刷工程が環境に配慮されていても、印刷物を印刷しすぎて廃棄したり、刷り直したりではエコロジーの取り組みがムダになってしまいます。ムダが出ない仕組みや小ロットに対応できるシステム化など、エコビジネスのトレンドを敏感にとらえ、即応できる機動力や対応力を身につけることが求められてくるのではないでしょうか。
 
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