CLUB GC
表紙へ グリーンレポートへ 技術情報へ Q&Aへ アンケートへ
印刷業界とエコビジネス<第1回>
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
印刷業界とエコビジネス<第1回> 2008/11/10
1.広がる環境対応への動き
2.環境報告書からCSRレポート、サステナビリティレポートへ
3.事業活動に欠かせないCSR
1.広がる環境対応への動き
 この夏の記録的な猛暑やゲリラ豪雨に見られるように、私たちを取り巻く環境の異変がごく日常的な現象として感じられるほどになり、エアコンの温度設定やクールビズ・ウォームビズへの気配り、省エネ商品の購入など、多くの人々が日々の生活の中で“地球温暖化”を意識するようになってきています。
博報堂研究開発局が実施した 「環境に関する生活者の意識調査2008」※1によれば、生活者の約8割の人が「環境問題解決のために自分のできることをもっと知りたい」と考えており、環境問題に自らが積極的に行動するための情報を望んでいることが分かります。 また、企業に期待する活動として、「環境に配慮した商品・サービス」「商品を製造する際の環境への配慮」「環境に関する研究や技術開発」などが上位に挙げられており、商品やサービスの製造・販売だけでなく、企業全体において環境や社会性を意識した活動を実施することが求められています(図1)。
一方、環境省の資料※2によれば、企業サイドでは、8割以上の会社が「環境への取り組みは、企業の社会的責任の一つである」と答えています(図2)。また、環境に対する活動の定量的な目標として、「省エネルギーの推進」「産業廃棄物の発生抑制」「二酸化炭素排出量削減」などを挙げています(図3)。
こうした傾向を見ていくと、環境に対する意識は、もはやイメージではなく、環境のために何を行い、どのような効果を上げているかが問われる時代になってきているのかもしれません。

※1 博報堂研究開発局発行「環境に関する生活者の意識調査2008」レポート
※2 「環境にやさしい企業行動調査結果」(平成19年12月環境省発行)より
図1 企業が「環境問題」対応するための活動として、あなたが期待する項目をお選びください。
図2 環境への取り組みと企業活動のあり方
図3 設定している環境に関する定量的目標(上位10項目:複数回答)
2.環境報告書からCSRレポート、サステナビリティレポートへ
 こうした動きに呼応して、企業の考え方もこの10年で大きく変貌してきました。ひと昔前は「お客様は神様」という言葉で代表される“顧客第一主義”の経営方針が一般的で、企業価値は“CS(顧客満足度)”で評価されていました。その後、経済のグローバル化とともに世界や社会との関わりが広がり、企業は社会の公器であり、市民社会の一員であるという考え方が定着してきました。1997年の「地球温暖化防止京都会議」以降には、さらに環境への取り組みに力を入れる企業が増加してきました。
こうした環境意識の高まりを受け、多くの企業は決算報告書とは別に株主をはじめとするさまざまな関係者を意識した環境報告書を発行するようになってきました。
2005年4月からは「環境配慮促進法」が施行され、独立行政法人、国立大学法人など政府関連の91法人に環境省のガイドラインに基づいた環境報告書の発行が義務化されました。この流れを受けて、上場企業の約8割(平成18年度)が環境報告書を作成しており、非上場企業にも環境報告書を発行する気運が高まっています(図4)(図5)。
さらに、2004年前後からは、環境対策に加えてCSR(Corporate Social Responsibility)という企業の社会的責任に対する概念が一般化してきました。CSRは、企業活動のテーマを「経済」「社会」「環境」の「トリプル・ボトム・ライン」として位置づけ、それに対応するさまざまな取り組みを行うことによって、企業価値を高めていくことを目指しています(図6)。企業の責任は、従来からの経済的あるいは法令に基づく責任を大きく超えた概念にまで広がり、商品やサービスはもとより、社会貢献や環境配慮など企業全体での対応が問われてきたといえるでしょう。
上場企業では環境報告書にCSR情報を盛り込み、「CSR報告書」や「環境社会報告書」、「サステナビリティレポート※3」などと名称を変える動きが出始めています。また、環境意識の高い企業では、環境報告書とCSR報告書とそれぞれ独立して2分冊を発行しているところも増えてきているようです。

※3サステナビリティとは、企業、社会、地球の持続可能な発展を目指すことで、企業の倫理性、ガバナビリティなども含む広義な意味でも用いられるようになっています。サステナビリティレポートは単なる「環境報告書」ではなく、経済性・社会性についても記述することが望まれています。
図4 環境報告書への取り組み状況(上場企業)
図5 環境報告書への取り組み状況(非上場企業)
図6 企業の社会的責任(CSR)
様々な報告書の例 (CSR報告書、環境社会報告書、サステナビリティレポート)
様々な報告書の例 (CSR報告書、環境社会報告書、サステナビリティレポート)
3.事業活動に欠かせないCSR
 企業活動のグローバル化が進むと、企業価値も世界基準で評価されます。例えば、Newsweek誌が毎年「世界企業ランキング500」を発表していますが、その評価は財務60点、CSR60点の120点満点で採点されており、CSRの重要性をうかがい知ることができます。
CSRの中でも最重要のポイントとなっているのが環境への配慮です。各企業には環境に配慮した商品やサービスを提供するのはもちろん、原材料や資材の調達から製造・物流・販売・リサイクルまで、環境への負荷が少ない製品づくりが求められています。
その具体策として国や地方公共団体が推進している「グリーン購入法」や「エコアクション21」への取り組みがあげられます。
「グリーン購入法」は、“商品やサービスを購入する際、必要性を考慮し、環境負荷ができるだけ小さいものを優先して購入すること”を目的にした法律で、国の機関はグリーン購入に取り組むことが義務、地方自治体は努力義務、事業者や国民にも一般的責務があると定められています。消費者の観点で「グリーン購入」といい、生産者の観点では「グリーン調達」といいます。
印刷業の場合では、再生可能な印刷用紙やトルエンなどのVOC(揮発性有機化合物)の少ないインキの採用、現像液や廃水などの削減、省エネルギー効果の高い印刷機器の導入などがこれに当たります。
「エコアクション21」は、環境省が2004年に認証・登録制度としてスタートさせた制度で、学校、公共機関や中小企業などによる環境への広範な取り組みを推進するために策定された環境マネジメントシステムです。
認証・登録を受けるための手順として、①中小企業等でも容易に取り組める環境経営システム(環境マネジメントシステム)、 ②必要な環境への取り組み(環境パフォーマンス評価)、③環境コミュニケーション(環境報告)、という3つの項目を掲げています。また、必ず把握すべき項目として、二酸化炭素排出量、廃棄物排出量及び総排水量をあげています。印刷業の場合では、電力や水使用量の削減、廃棄物や廃棄紙の削減、分別リサイクルなどが該当します。
これらの環境マネジメントシステムは、企業活動全体にわたる環境への取り組みの強化とともに、環境に関する情報を環境報告書などのさまざまな媒体を通して積極的に公開し、利用者・購入者とのコミュニケーションに努めることを必須の要件としています。
環境報告やCSRへの取り組みは、企業のブランド価値を計る基準となると同時に、取引先やエンドユーザーに選ばれるための評価条件として格上げされ、CSRへの取り組みなしでは生き残れない時代になりつつあります。それだけにこれらの印刷物を提供する側にも、CSRに対するより深い理解と知識が必要となっています。
次回は、印刷業界が取り組んでいるグリーン調達や環境に配慮した新しい印刷技術、さらに印刷を発注するお客様の立場からのグリーン購入の具体例などについてレポートします。
表 Newsweek誌「世界企業ランキング2008」における日本企業のランキング(抜粋)
 
back
Copyright(c) 2008 FUJIFILM BUSINESS SUPPLY CO., LTD. All Rights Reserved.