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富裕層の拡大で、高付加価値化する印刷マーケット<第2回>
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
富裕層の拡大で、
高付加価値化する印刷マーケット<第2回>
2008/4/10
1.特殊印刷需要の拡大
2.高付加価値印刷の主流、UV印刷
3.特殊な効果を演出する加工
4.特殊印刷の近況と印刷機メーカーの動向
1.特殊印刷需要の拡大
 Webメディアを使ったPR、販促が増加する中で、雑誌広告が規制緩和され、印刷メディアがちょっと違った角度から注目されています。それは特殊印刷を利用した雑誌広告、ポスター、DMなどです。見慣れた宣伝媒体に特殊印刷や特殊加工を施すことで付加価値や注目率を高め、若者向け、女性向け雑誌では、売り上げまで左右するほどの効果をあげています。
UVインキや特殊印刷用の原反の出荷量も伸び続け、これが宣伝広告やSPツールなど、一般商業印刷の分野でも大きく広がっています。これは富裕層の拡大にともなって高級品や高級ブランド市場が活性化していることも要因のひとつとなっています。ブランド消費大国の日本では、特に、コスメ、ファッション、アクセサリーなどの高級ブランド業界での印刷物においての伸びがめざましく、商品の持つ高級感、ブランドイメージと一貫した質の高さが印刷物にも求められているからです。例えば化粧箱や手提げ袋、包装紙といったパッケージ関係だけでなく、商品タグや同梱のメッセージカード、カタログ、パンフレット、ポスターの類まで、統一されたブランドイメージが要求されます。
こうした印刷物をイメージ通りに表現するために、特色やハイグロスのコーティング、UV印刷といった特殊印刷の手法が利用されています。
●広告費の構成比
 日本の総広告費は横ばいを続けていますが、その構成比は時代とともに変化しつつあります。テレビが3年続けて減少する中、印刷業界と関係の深い「プロモーションメディア広告費」は4年続けて増えています。例えば「POP」は8年連続増、「交通」が5年連続増、「屋外」も2年連続の増加など、特殊印刷の活躍する場が着実に広がっています。
●拡大を続けるイタリア高級ブランドの2006年決算例
 日本でも有名なイタリア高級ブランドは世界規模で拡大を続けています。またエルメス、ルイ・ヴィトン、フェラガモなど、世界を代表するブランド各社は東京・銀座に続々出店。日本は高級ブランドにとって最も重要なマーケットのひとつとなっています。
2.高付加価値印刷の主流、UV印刷
 印刷面のつや出しや、盛り上げなどの印刷表現を可能にするUV印刷は、高付加価値印刷を代表する最もポピュラーな印刷手法のひとつです。このUV印刷は、以前からパッケージやラベル印刷では多用されてきた特殊印刷ですが、高級感や特殊な表現・効果を必要とする高付加価値印刷の需要拡大により、ポスターやカタログ、商品POPなど訴求力が重要視される一般商業印刷にも進出してきました。
従来のUV印刷はスクリーン印刷が主力で、印刷ロットや納期等に制約がありました。しかし、最新の印刷機では、箔押しやニス引きなど「印刷+表面加工」がインラインでの同時印刷も可能となり、生産性が格段に向上しています。
印刷素材もプラスチックシートやアルミ蒸着フィルムなど、あらゆる素材への印刷が可能となったことで印刷表現の自由度も高く、富裕層をターゲットとする高付加価値マーケットからの要求も、より高いレベルで応えられるようになってきました。
また、UV印刷に使用するUVインキはVOC(揮発性有機化合物)を含まない無溶剤のため、大気中にVOCを放散することがなく、パウダースプレーも不要になったことで環境面での優位性が見直されており、水なし印刷とともに現在注目されている印刷技術となっています。
●プラスチックシートへのUV印刷概要図
UV印刷のしくみ
UVインキは単独で使用したり、またプロセスインキと組み合わせての使用も可能で、表現力の自由度が高いのも特徴のひとつ。
ラメ入りUV印刷の見本
ラメを全面でなく、部分的に使うことで、注目度をよりを高めています。
UV厚盛り印刷の見本
タイトルと線画イラストにはカラーでオフセット印刷した後、厚めの透明UV印刷を施しています。
3.特殊な効果を演出する加工
 ひと口に加工といっても種類は様々。「ニス引き」のように印刷にきわめて近い工程を踏むものや「PP貼り加工」や「フィルム転写」のように補強や装飾を目的に紙の表面を加工するもの、「箔押し」や「浮き出し」のように印刷では不可能な力強いグラフィック表現を可能にするもの、そして「型抜き(窓あき)」のように、紙や素材そのものの形に手を加えることを目的とするものもあります。
表現方法としては、「光輝」、「質感」、「立体感」といった通常の印刷では表現しにくい仕上がりを求められる場合にとくに有効となります。
「光輝」の表現は、従来は金や銀などのメタリックな箔押しが主流でしたが、最近はホログラム系の人気が高まり、華やかさを表現する需要が高まってきています。
「質感」表現では、箔押しやニス引きなどの加工処理に変わってUV厚盛り印刷やUVクリアー印刷などが多用される傾向にあります。
また「立体感」の表現では、浮き出し加工がもっともポピュラーな手法でしたが、UV厚盛り印刷の需要も高まってきています。
こうしてみると、加工処理もUV印刷で代替できるケースも多くなり、さらには印刷と加工をワンパスで処理できる印刷機の登場で、「特殊印刷・加工」が一つの言葉として成立する傾向が多く見られるようになってきました。
●特殊加工の分類
●特殊加工の見本
 
ホログラム柄のフィルム転写の加工例   書籍の帯に窓あき加工を施した例
4.特殊印刷の近況と印刷機メーカーの動向
 2008年は、米国の景気減速による世界経済の成長鈍化が懸念されていますが、電通によれば北京オリンピックなどがプラス要因となって、広範囲の業種で積極的な広告出稿が続くとみています。
業種別にみると、薄型テレビ・高機能家電の新商品発売と市場競争が活発な「家電・AV機器」。団塊世代・シニア層向け金融商品の広告が活発な「金融・保険」。海外ブランド品の広告展開が活発な「ファッション・アクセサリー」のほか、「外食・各種サービス」など広範囲の業種で引き続き積極的な広告活動が予測(電通予測)され、印刷業界もこうした業種への積極的なアプローチがポイントとなってくるでしょう。
主要印刷機メーカーでは、こうした流れをふまえて最新鋭印刷機を続々と開発し市場に投入しています。ローランド社は箔+カラー+ニスの同時印刷を可能にする「インラインフォイラー7色機」を発表。リョービ社では消費電力量を70〜80%削減する省エネルギー「LED−UV印刷システム」を開発。またハイデルベルグ社ではUV装置を内蔵した次世代型印刷機「XL105-UV」を発売しました。
大手印刷会社各社ではこうしたUV印刷を軸とする高付加価値印刷機を積極的に導入し、自社の“印刷力”をクライアントや同業他社へアピールする「特別内覧会」などのイベントを開催しており、会社の将来を高付加価値印刷に託している現実が伺われます。
こうした特殊印刷の進化はグラフィック表現をより豊かにするのは確かです。しかし、まず特殊印刷や特殊加工ありきのデザインよりも、しっかりとしたコンセプトを持ち、それにもとづいた表現手法を選択して生まれたデザインのほうが、結果的に完成度が勝ることが多いのも事実です。
印刷のプロフェッショナルは、こうした印刷技術を把握した上で、クライアントの望む“ 人の心に響く表現”を実現するためのノウハウや提案力を持つことが、ますます重要な営業力のひとつとなってきているようです。
 
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