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富裕層の拡大で、高付加価値化する印刷マーケット<第1回>
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
富裕層の拡大で、
高付加価値化する印刷マーケット<第1回>
2008/3/10
1.拡大を続ける新たなマーケット
2.消費のキーポイントは女性
3.ニューマーケットに向けた「クラスメディア」の広がり
4.情報効果を高める高付加価値印刷
1.拡大を続ける新たなマーケット
 社会の多様化とともに、自分自身の価値観やライフスタイルを貫くことを大切にするこだわり派の消費者や、“ニューリッチ”、“セレブ”などと呼ばれる富裕層に向けたマーケットが拡大しています。なかでも注目を集めているのが、購買力の高い富裕層マーケットです。
富裕層と一口にいってもタイプは様々で、この富裕層の定義もまた一様ではありません。一般的なマーケティングではストック型と消費型の2つのグループに分類されることが多く、マスメディアで取り上げられている、いわゆる“お金持ち”と言われる富裕層はストック型に属します。この富裕層は先代、先々代と、お金持ちの家系で生まれ育っている人たちで、プライベートバンクや証券会社がターゲットにしているのが主にこの層です。しかし、他のほとんどの業種においては、ビジネスの対象にはなっていません。
一方、消費型の富裕層とはマスコミなどで“ニューリッチ”とも呼ばれている人たちです。主に、一代で財をなしたIT長者や起業家、さらには経営の中枢に身を置き数千万円レベルの年収を得ているような人たちを指します。
●金融資産による富裕層の分類の一例
●所得階層別の人数の推移
 この消費型の富裕層の特徴を理解するためのキーワードが消費カテゴリーです。あるカテゴリーで高額消費する顧客は、他のカテゴリーでも消費している例が少なくありません。このような消費行動をする消費型富裕層の獲得こそが、多くの企業にとって重要なテーマとなっています。
第一生命経済研究所が発表したレポートによれば、富裕層ビジネスは10兆円の消費市場で、所得2000万円超の人数はバブル以降1.9倍に増加しています。
●富裕層の対象となる主な消費カテゴリーの例
●年間所得2,000万円超の富裕層の消費総額
2.消費のキーポイントは女性
 もうひとつのキーポイントが、購買行動の決定権をもつ女性へのアプローチです。
女性マーケットはいつの時代でも衰えることがなく、購買行動のあらゆるシーンで決定権を持つのもまた女性であることが多いのです。この方程式は、富裕層でもまたしかり。たとえば超豪華客船の世界一周の旅なども、まず高額なものから予約が埋まり、その選択をするのもほとんどが女性なのです。
そのため、女性の感性にフィットするものを提供し続けている企業は勝ち組となっているのもまた事実なのです。
●家庭における全体的な実権を握っているのは誰か●家計費管理について最終的に決定するのは誰か
 さらに、近年では、女性の“ニューリッチ”という層が増加しています。高級エステに足繁く通い自身を磨くことに熱中し、不況の最中にもかかわらずクルーザーや高級外車を買い、また節税対策にプライベートジェットを購入する女性起業家も珍しくなくなってきています。こうした女性たちは自分たちが特別な存在であることを強く認識していて、企業もこの“特別さ”を意識した上質でオリジナリティの高い商品を提供する必要があります。しかもこうした女性たちは流行に敏感で、“時流”をとらえる企業のマーケティング力がとても重要なのです。
富裕層に向けた新しいサービスや商品の例(2007年10月−2008年2月)
フランスのシャネルは、07年10月、08年春夏コレクションの一部としてロゴ入りのモードな自転車を発表。価格は1万3595ドル(約155万円)。

クレジットカードのアメリカン・エキスプレスは、日本での創業90周年記念事業として、07年11月、「アフルエント」と呼ばれる富裕層のライフスタイルをまとめた白書を発行。「アフルエント」を「財産規模にかかわらず、人生を楽しむ消費に対して積極的な人」と定義づけ、上質なサービスや商品を提供する企業に対し、「オーダーメイドな関係」を築くことを提案している。

日本航空(JAL)は07年12月より国内線初の「ファーストクラス」と国際線の新クラス「プレミアムエコノミー」のサービスを開始。全日本空輸(ANA)も08年4月から国内線の上級席「プレミアムクラス」を導入。

PCショップを運営するグッドボックスは、08年1月、プラチナ筐体の超高級デスクトップPC(価格8000万円)、ゴールドPC(価格6000万円)の2製品の受注販売を開始。

世界有数の金融・銀行グループHSBCは、08年1月、金融資産を持つ顧客向けサービスを主要業務とする店舗を、東京・赤坂と広尾に開業。年内に東京でさらに4店舗、大阪に1店舗開設する計画。

パリ・オートクチュール(高級注文服)に復活の兆し。欧米、中近東の富裕層に加え、日本、中国などの東アジア地域の顧客が増えている。1月に開催された08年春夏コレクションには26ブランドが参加、シャネル、アルマーニ、ジバンシィなどが新しい顧客層を意識した若々しくモダンな造形の作品を発表した。

高品質旅行専門店のJTBロイヤルロード銀座は、運転手付き高級車・ロールスロイスで送迎を行う期間限定(08年4月27日まで)の商品で、出発から帰宅までこだわったプレミアムサービスを行う。

クラブツーリズム(株)は、業界初となる日本発着の海外豪華客船チャーターによるクルーズ旅行を09年3月下旬に実施すると発表、予約受付を開始した。
3.ニューマーケットに向けた「クラスメディア」の広がり
 こうしたマーケットの拡大を受けて、購買力の高い医師や弁護士、経営者、ベンチャー起業家や「消費型富裕層に向けた「クラスメディア」が、それぞれの価値観やライフスタイルに合わせた情報を発信しています。
クラスメディアには富裕層向け雑誌や会員誌に加え、高額通販カタログ、ゴールドカード・ブラックカードの請求書に同梱されるような広告など、形態も様々。商品は健康食品から不動産・自動車・総合通販など高額商品やプレミアムな商品など多岐にわたっています。発行部数も1万部や100万部というものまであり、まさに百花繚乱状態です。しかも、さらにニッチな部分を埋めるべく、よりターゲットを細分化したフリーペーパーや、男性をターゲットにした雑誌など、新たなメディアが生まれ続けています。
これらのクラスメディアに共通する課題となっているのが、セグメントされた精度の高い読者リストの収集と、それぞれの興味や年収、嗜好、価値観などに合わせた付加価値の高い情報提供です。
これらのメディアに“プレミアム”な付加価値を演出し、情報をより効果的に伝えるために注目されているのが、特殊印刷をベースにした高付加価値印刷です。
印刷技術や印刷機の進化により、従来は不可能だったプラスティック素材や特殊なインキなどにより印刷の表現の自由度が高まり、意図した表現がほぼ実現できるレベルまできています。

※クラスメディア(class media):特定の階層を対象とする広告媒体。
富裕層を対象にしたクラスメディアの例
▲富裕層を対象にしたクラスメディアの例
●2006年2月25日より月刊化されたクラスマガジン『SEVEN HILLS』
部数:35,000部 年間定期購読料:22,680円 発行・販売:株式会社イー・マーケティング
●富裕層向けのハイエンドソサエティマガジン『ADDICTAM(アディクタム)』
部数 : 20,000部×年4回 定価 : 2,000円 発行:株式会社アム アソシエイツ
●オピニオンリーダーとその家族に読者を限定した会員誌『Nile's NILE』
購読(無料)には審査が必要。発行:株式会社 ナイルスコミュニケーションズ
4.情報効果を高める高付加価値印刷
 富裕層に人気のある高級セダンと大衆車のカタログを比較してみると、見た瞬間、手にした時点でクォリティの違いが伝わってきます。その違いを検証してみると、判型や紙質、重量感、写真の色合い、ページ構成などの様々な要素が異なっていることに気づきます。
人気の高い独製高級車の艶やかなボディの光沢感は塗膜の厚さによって生まれています。大衆車に比べ、2度、3度とボディの塗装回数を増やすことで塗膜を厚くして、傷に強くするのと同時に深みのある色合いを醸し出しています。
ここまでこだわっている車のボディ色を、プロセス4色の印刷でカタログに表現しようとしても表現しきれないのは明らかです。特に女性は色に敏感で、微妙な色合いや、光沢感、質感などまで、より忠実に再現することが求められています。
このようなカタログでは、高級住宅、高級家具、高級化粧品など、商品の違いによっても表現するポイントが異なってくるため、用紙の選択や特殊印刷等による表現力のバリエーションが必要となってきます。
品質や本物を見る目の肥えた方々に、いかに商品やサービスの魅力を印象的に伝えるか…印刷を発注するクライアント側でもその重要性が十分に認識される時代になってきています。
次号では、富裕層やこだわり派向けの印刷物を例にとって、どのような特殊印刷や加工技術が使われているかをみていきたいと思います。
 
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