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保険業法の改正で何が変わるのか?<第2回>
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
保険業法の改正で何が変わるのか?
<第2回>
2007/10/10
1.ミニ保険会社になる条件
2.ニッチ市場を狙うミニ保険会社の商品戦略
3.特定保険業者(無認可共済)の生き残り策は?
4.適用除外共済への道
5.まとめ〜期待される印刷需要
1.ミニ保険会社になる条件
 ミニ保険会社とは、改正保険業法に伴って新たに設けられた業態で、少額・短期の保障事業を一定規模の範囲内で行う会社とされています。では、ミニ保険会社=少額短期保険業者の条件である「少額」「短期」とは、そもそも何を指すのでしょうか。
「少額」とは、一人の被保険者について、支払われる保険金額が下に示す区分の範囲内であり、かつ総額1,000万円以下であることを指します。
●保険金額の区分ごとの上限
1.
疾病による重度障害・死亡
300万円
2.   疾病・障害による入院給付金等   80万円
3.   傷害による重度障害・死亡   600万円
4.   損害保険   1000万円
(損害保険のうち、保険事故発生率の低い個人賠償保険は、別枠で1,000万円以下)

「短期」とは、取り扱いできる商品の保険期間が、生命保険・医療保険の場合は1年間、損害保険の場合は2年間と限定されているものです。
また、取り扱い分野の限定はないこと、掛け捨てに限定されること(満期金支払い型、年金等生存保険、運用型、外貨建て等は不可)などの制限が設けられていることが、従来からある保険会社とは異なります。
一方で、経営面に関しては、法令順守体制やディスクロージャーなどのシステム整備が欠かせず、責任準備金の積立や支払い余力基準を設定されるなど、保険会社と同等の経営責任が求められています。このため、実状では想定以上のコストが必要となり、初期投資を回収するまでの期間も、通常の事業会社より長くなるだろうと言われています。
このような事情から、本業との相乗効果を狙い、異業種から保険業への新規参入を目指していた企業のなかには、計画を転換・修正するところも出てきました。
楽天とアメリカンホーム保険が共同出資して設立した楽天インシュアランスプランニングは、楽天リアルティマネジメントに吸収合併され、アメリカンホーム保険との業務提携を解消してミニ保険会社の事業化を見送りました。ファンケル(化粧品)子会社のファンケル保険サービスも、当面はミニ保険会社化を見送り、乳がん患者らに見舞金を支払う共済会を現状のまま継続するとしています。
●ミニ保険会社と保険会社の違い
2.ニッチ市場を狙うミニ保険会社の商品戦略
 ミニ保険会社の商品は、生命保険・損害保険を問わず、シンプルかつオリジナリティある内容が特長といえます。大手保険会社の商品の隙間を埋める魅力ある商品で加入者をいかに集めるか。そのような斬新性を持った商品開発が、成功の可否にかかわる重要な要素となりそうです。
2007年9月10日現在、ミニ保険会社として登録し営業しているのは4社。うち2社は新規参入組で、2社が特定保険業者(無認可共済)からの移行です。その商品の概要を見ると、次のようになります。

● 日本震災パートナーズ株式会社
既存の地震保険(火災保険とのセット加入が条件)と異なり、単独で加入できる地震保険「リスタ」を発売。保険金が自治体の被害認定に応じて支払われるなど、審査基準を明確化しているうえに、既存の地震保険ではカバーできない震災後の生活再建費用を補償する商品が特長。

●エクセルエイド少額短期保険株式会社
糖尿病患者向けの医療保険と掛け捨ての定期保険を発売。糖尿病は重度になると定期的な人工透析が必要で、合併症を引き起こすリスクも高いため、既存の保険商品では糖尿病有病者が加入できる医療保険はなかった。エクセルエイドの商品は、糖尿病有病者でなければ入れないことが特長。

●ペット&ファミリー少額短期保険株式会社
家庭で飼われている犬・猫を対象とした医療保険「ペット保険」を発売。同社は日本で初めてペット共済事業をはじめた日本ペットオーナーズクラブ(無認可共済)を母体としたミニ保険会社。

●株式会社ユービー共済会
賃貸住宅入居者総合保障プランの共済事業を行っていた特定保険業者(無認可共済)からの移行。2007年7月25日、少額短期保険業者として近畿財務局に登録。10月1日から営業を開始し、ミニ保険会社としての新商品の販売も同時にスタートした。ちなみに同社は保険代理店事業も営んでおり、三井住友海上保険、東京海上日動火災保険、あいおい損害保険、アリコジャパンの代理店を営業中。
●ミニ保険会社への登録準備を進めている企業
●ミニ保険会社NC帳票例「ペット保険契約申込書:3P」
3.特定保険業者(無認可共済)の生き残り策は?
 既に金融庁に届け出た389の特定保険業者(無認可共済)のうち、ミニ保険会社への登録を完了したのは2社。一方、廃業の意向を伝えたと言われているのが165業者。すでに東京都や群馬県、島根県で死亡保障などを手がける4業者が廃業したと伝えられています(日経新聞2007年6月12日付朝刊)。残る220余の業者はどうするのでしょうか。
ミニ保険会社への移行を果たせないために、やむを得ず廃業の道を選ぶとしても、実はそう簡単には廃業できません。というのも、廃業するには金融庁(財務局)に業務廃止の申請をし、保険契約の移転を完了したことの確認を受けたうえで、廃業を承認してもらう必要があるからです。
このような業者に対して、救いの手を差し伸べているのが、既存の保険会社。とくに損害保険会社のなかには、これをチャンスとばかり、積極的にかかわろうという動きを見せる企業も出てきました。
保険会社が今まで提供してこなかった商品・サービスを提供してきた特定保険業者(無認可共済)の役割を評価し、そのなかでも、健全経営を行ってきた団体に対して、業務支援や業務提携、資本支援、あるいは買収・吸収合併を持ちかけ、自分たちの商品にはないニッチで身近な商品やビジネスモデルを手に入れようというわけです。
現実的なシナリオとしては、家財共済やペット共済などの分野で複数の特定保険業者(無認可共済)が買収・合併の形で統合を検討していると言われています。また、既存の保険会社に契約を包括移転してその保険会社の代理店になり、商品の販売を継続しようとする特定保険業者(無認可共済)の動きも伝えられています。
そんななか、2007年8月28日には、ミレアホールディングスが日本厚生共済会へ出資し、子会社化すると発表されました。日本厚生共済会は、不動産会社を通じて賃貸住宅入居者向けの共済(火災保険)を提供している特定保険業者。同社がミニ保険会社としての登録を済ませ、営業開始の準備が整ったところでミレアホールディングスが子会社化し、新たに「ミレア日本厚生少額短期保険」に商号変更するというものです。
残り半年を切った2008年3月31日のミニ保険会社の登録申請締切日までの間には、さらにこのような動きが見られるかもしれません。
●保険会社による特定保険業者の支援策
4.適用除外共済への道
 改正保険業法は、無認可共済を保険業法の監視下に置き、共済事業を継続するためには最終的に保険会社かミニ保険会社になることを義務づけました。一方で、それまで曖昧なままにされていた保険業法適用除外の共済は、従来通り保険業法の規制を受けずに事業を継続できるよう認められました。
全国配膳人紹介業協議会が運営する所得補償共済は、改正保険業法が施行された2006年4月1日時点での加入者が500人強と、「政令で定める人数(契約者・被保険者あわせて1,000人)以下の者を相手とするもの」という条件に合致していたので、特定保険業者の申請をせず、任意団体として事業を継続する道を選びました。
ただし、「1,000人以下を相手とする」という規定にも、さらに例外規定*1があって、これに反するとミニ保険会社になることが義務づけられます。
保険業法の規制の適用を受けないということは、任意団体が自由に制度設計・制度運営することが可能となるため、例えば一つの団体で、その構成員に対して、これまで「団体扱い」*2の形で保険会社の商品を仲介していたようなところが、適用除外を使って堂々と自前の保険事業(共済)を展開することも可能になります。
表立った動きは見られませんが、合法的な選択肢として、こういう形で生き残りを図る共済(適用除外の認可共済)が現れるかもしれません。
※1例外規定:
2つ以上の団体に分けて1,000人以下にしているのは不可
  再保険は不可
  一人から年間50万円超の保険料、あるいは1法人から年間1,000万円超の保険料の引き受けがあるのは不可
※2団体扱い:一定の集団に属している人たちが契約可能な生命保険。クレジットカード会社(その会社のカードを持っていれば集団の対象となる)、商工会、商工会議所、通販会社などが対象となる。
●「認可共済」という合法的な生き残り策
5.まとめ〜期待される印刷需要
 現在、日本の保険会社の数は、生命保険、損害保険それぞれ40社程度。これに、今回の改正保険業法の施行によって新たに誕生する保険会社とミニ保険会社の数を加えると、100社程度になるのでは・・・と予想されています。新規参入組と特定保険業者(無認可共済)からの移行組を合わせても、増えるのは20社程度。
実際には、ミニ保険会社として既に登録済みの4社に加え、登録見込みが30〜40社あるとも言われており、最終的にどれだけの数の特定保険業者(無認可共済)が誕生するかは、2008年3月末日の申請締め切りを待たなくては分かりません。
保険業界は印刷需要が見込まれる業界です。新しい保険商品が生まれれば、それを告知する販促ツールや紙媒体広告の増加などに加え、それに伴う申込み関連書類として、契約申込書・告知書、約款、商品説明資料、重要なお知らせ、パンフレット、振込用紙、申込書送付の挨拶状、契約申込書類チェックリスト、返信用封筒など印刷物は多岐に渡ります。
また、ミニ保険会社が新たに設立されれば、その事業者・事業所関連書類として、定款や業務・財務の説明書類(各事業所・各年度ごとに常備)、契約者管理システムの整備に伴う帳票やビジネスフォーム、保険証券、広報・広告などの印刷需要が期待されます。
保険業界に起きた変革の波を商機につなげられるよう、印刷ニーズを把握し、準備を整えておくべき時期と言えそうです。
●予想される印刷需要
●保険契約申込書、パンフレットなど関連書類の一例
 
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