CLUB GC
表紙へ グリーンレポートへ 技術情報へ Q&Aへ アンケートへ
保険業法の改正で何が変わるのか?<第1回>
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
保険業法の改正で何が変わるのか?
<第1回>
2007/9/10
1.保険業法 改正の狙い
2.改正保険業法の内容
3.共済にはどんなものがあるのか
4.サービスの継続か廃止か? どうなる無認可共済
5.まとめ
1.保険業法 改正の狙い
 2006年4月1日から施行された改正保険業法は、1996年に破綻・解散して社会問題を引き起こしたオレンジ共済組合事件のような、共済事業を隠れ蓑にした詐欺事件が相次いだため、規制を強化して加入者(契約者)を保護するために生まれたものです。
規制の対象となるのは、事業を監督・規制する所管の行政庁がないために、無認可とされていた共済(無認可共済)です。
無認可共済の大半は、特定の会員組織をつくり、加入者を会員にしていますが、実際は、入会金さえ支払えば誰でも入ることができるものもあって、不特定の人を相手にする保険との区別がつきにくくなっていました。
また、無認可共済には免許や商品審査などの制約がないため、支払いに備える責任準備金が不足して共済金(保険金)が支払われず、契約通りの補償が受けられないという問題も発生していました。
国民生活センターに寄せられた共済に関する相談件数を見ると、相談件数そのものだけではなく、マルチ商法まがいの件数の急激な増加が、深刻な社会問題となっていたことが分かります。
総務省が2004年に実施した無認可共済の実態調査によると、団体名や商品名に「共済」を使用しているものは全国で684団体に上りました。そのうち調査に応じた370団体(全体の54%に相当)の共済への加入者総数は約2,188万人、共済掛け金の年間総額は約1,318億円という規模でした。
●共済に関する相談件数(国民生活センター調べ)
2.改正保険業法の内容
 改正保険業法では、無認可共済に対して、次の3つの選択を迫りました。
① 保険会社の免許を得る
② 少額短期保険業者として登録する
③ 事業を他の事業者へ移転し、廃業する
そのスケジュールは、2006年9月30日までに、特定保険業(無認可共済)を行っている旨を内閣総理大臣に届け出し、事業を継続する場合は2008年3月31日までに、少額短期保険業者として登録しなければならない、という厳しいものです。
少額短期保険業者は改正保険業法で新設された制度で、保険期間が1年以内(生命保険の場合)、病死の保険金300万円以下など「少額・短期」の条件を満たせば、免許制の保険会社よりも緩い条件で設立(登録制)が認められます。このためミニ保険会社とも呼ばれ、大半の無認可共済の受け皿になると見られています。
●無認可共済の選択肢
●改正保険業法の適用から除外される共済団体
●移行スケジュール
3.共済にはどんなものがあるのか
 共済は、職業や地域など特定の共通点を持った人々が資金を出し合い、集まったお金の中から事故や入院、葬儀などの困った際に費用を支出し助け合う小規模な互助的事業です。これを実施している団体は、任意で、自主的に行ってきたことから「自主共済」とも呼ばれ、JA(農協)や生協(コープ)、全労済などの法律に基づく「制度共済」とは区別されていました。
無認可共済の中には共済という言葉を使わず、○○互助会、○○倶楽部、○○友の会、あるいは○○会などという名称で活動している団体もあります。取り扱う商品は、2004年の総務庁の調査によると、生命・身体に関する共済、家財に関する共済の2つが合わせて8割強を占めるものの、大手保険会社(生保・損保)にはない、小回りの利く共済ならではのニッチでユニークな商品もあります。例えば、ペットの医療に関する共済、美容医療の賠償責任・クレームを補償する共済、山岳遭難時の救援費用を補償する共済、知的障害者のための総合保障共済、事業主が休業時に支払う所得を保証する共済、配膳人が就業不能になったときの所得を補償する共済、交通反則金を補償する共済、けがをした子どもの治療費を負担するPTAの共済、医師が休業した時に看護師らに補償する保険医団体の共済など、多岐にわたり、その多くが生活者の視点から営まれていたものでした。
●無認可共済の種類(調査対象団体数=166)
※その他の例:建物完成保証、遭難時の救援援護費用補償、休業(所得)補償、交通反則金補償、自動車事故保障、製品修理保障、賠償責任補償、空き室保障など

●「ほしょう」とは
保障:危険や災害による損害を被らないように保護すること。
補償:損害を補い(=不足を満たし)償う(=金品で埋め合わせる)こと。
保証:他人の債務を肩代わりする義務を負うこと。
●共済の種類
4.サービスの継続か廃止か? どうなる無認可共済
 無認可共済から少額短期保険業者(ミニ保険会社)になるためには、任意団体から会社組織(法人)への移行が必須です。そこで発生する新たな費用・・・資本金のみならず、責任準備金、監査法人に対する監査委託料、税理士に支払う費用、保険代理人(アクチュアリー)への委託料、業務体制を維持するためのランニングコスト(常勤職員や事務所)などをどのように負担するか。スタッフの多くをボランティアに頼り、年間予算が数千万円規模で運営してきた小さな団体にとっては、見逃せない問題と言えます。
2006年9月末日までに金融庁に届け出を済ませた無認可共済は全国で389。そのうちの2社が既に少額短期保険業者への登録を完了していますが(2007年8月15日現在)、165団体は廃業の意向を伝えたと言われています。
一方で、新制度の少額短期保険業者(ミニ保険会社)は、免許制の保険会社に比べて保険業参入へのハードルが低くなったことで、新規参入する事業者も出てきました。既に2つの事業者が少額短期保険業者の登録を済ませ(2007年8月15日現在。登録済み少額短期保険業者の数は計4社)、さらに登録のための準備を進めていると公表している事業者も数社に及んでいます。
また、無認可共済向けに、少額短期保険業者(ミニ保険会社)として必要な業務を一括してサポートするシステム(ASPサービス*)を売り出す会社も現れるなど、新たなマーケットが広がっています。

※ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ):インターネット経由で財務管理や営業支援などの各種ソフト(アプリケーション)を一定期間貸し出すサービスのこと。ソフトを購入する場合や自らシステムを構築する場合に比べて、初期投資や運営費用が安く済む。ソフトの提供だけでなく、データの管理や処理も同時に請け負うことも多い。
5.まとめ
 改正保険業法は、従来の無認可共済に厳しい選択を迫っています。その反面、少額短期保険業者(ミニ保険会社)になれば、マーケットを熟知し、顧客サイドの視点に立った商品企画力を武器に、これまでの保険会社や特定保険業者(無認可共済)にはなかった特徴ある保険事業を展開するチャンスが、大きく広がっているとも言えます。
例えば、新たに少額短期保険業者(ミニ保険会社)となった日本震災パートナーズは震災時の生活費を迅速に支払う地震保険を、エクセルエイド少額短期保険は糖尿病患者でも加入できる医療保険と、それぞれ大手保険会社にはない独自の商品を発売しています。
保険業界は、契約書類、帳票、ビジネスフォームなどの需要が期待される業界です。そこで次回は、改正保険業法によって生まれた新しい動きの現況と将来を概観するとともに、印刷業界にどのような波及効果が期待できるかを探っていきたいと思います。
 
back
Copyright(c) 2007 FUJIFILM BUSINESS SUPPLY CO., LTD. All Rights Reserved.