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改正薬事法で活性化が進む医薬品ビジネス<第2回>
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
改正薬事法で活性化が進む医薬品ビジネス
<第2回>
2007/8/10
1.混沌とする医薬品ビジネスの現状
2.期待感高まる新規参入組の顔ぶれ
3.迎え撃つ既存ドラッグストアの戦略
4.マーケット拡大が期待される医薬品通販
5.まとめ〜新たな印刷需要への期待
1.混沌とする医薬品ビジネスの現状
 進行する高齢社会、増大する国民医療費でますます大きくなっていく財政負担。国は2年ごとに行われる薬価改訂を機に、近年は連続して薬価の引き下げを断行しています。
繰り返される薬価の引き下げと膨大な新薬の開発費…。この狭間にあって国内製薬メーカー各社は、海外メーカーも巻き込んでの生き残りを賭けた再編劇をすでに進めています。
2001年10月には大衆薬専業のエスエス製薬がドイツのベーリンガーの子会社に、同年12月には中外製薬がスイスのロシュの傘下に入り、さらに記憶に新しいところでは、2005年4月に山之内製薬と藤沢薬品の合併によるアステラス製薬(武田薬品に次ぐ医薬品売上第2位に浮上)、そのわずか半年後の10月に相次いで経営統合した第一三共(三共と第一製薬)、大日本住友製薬(大日本製薬と住友製薬)などが挙げられます。
積極的なM&Aで経営体質を強化する再編の波は製薬会社だけにとどまりません。2007年6月には調剤薬局最大手のアインファーマシーズが、埼玉県を中心に店舗展開するドラッグストア「あさひ調剤」を完全子会社化するなど、大衆薬卸会社、調剤薬局、ドラッグストアにも再編の波は及んでいます。
●1990年以降の薬価改定推移
2.期待感高まる新規参入組の顔ぶれ
 2007年6月、厚生労働省の登録販売者試験実施ガイドライン作成検討会による「登録販売者の受験資格に関するガイドライン」の最終答申がありました。受験資格が実務経験1年以上と、新規参入をめざすコンビニ業界などからは「意外と高いハードル」という反応が出ているようですが、いずれにしても、「薬」を扱うためのハードルは改正前より低くなっています。
というのも、コンビニエンスストアは長らく、大衆薬の高い利益率を元手に食品を安売りするドラッグストアにお客を奪われてきました。今回の改正薬事法による医薬品関連の規制緩和はコンビニ業界にとって「長年の要望」(セブン&アイ・ホールディングス)であり、「コンビニエンスストアの強みである緊急時の需要が見込める風邪薬や鎮痛剤を販売できるのは大きな魅力」(ファミリーマート)だったのです。
具体的に取り組み始めている新規参入組もあります。ミニストップでは2006年11月から名神高速道路・草津パーキングエリア(上下線2カ所、滋賀県)内の店舗に薬剤師を常駐させ大衆薬を販売。こうした勢力も当然、登録販売者の活用を念頭においていると思われます。
また、深夜まで営業時間を延長しているストアやスーパーマーケット、スポーツジム等の健康施設などの中にも登録販売者の登場によって医薬品ビジネスへの参入を具体的に検討しているところも多く、競争激化による印刷需要は確実に伸びることが期待されています。
3.迎え撃つ既存ドラッグストアの戦略
 粗利益率35%前後といわれる医薬品の大きな利益を原資に日用品や食品を廉売し、大きな勢力を築いてきたドラッグストアも、度重なる薬価の引き下げと同質化競争(価格訴求を重視する同質の事業モデル間での競合)により、収益に陰りが見えはじめています。ここでは既存のドラッグストアが新規参入組にどのように対抗していくのか、その戦略について紹介しましょう。

●マツモトキヨシ
大手ドラッグストアでは初めての試みとして、東京・六本木店で2007年6月から24時間営業をスタート。深夜から早朝の時間帯における需要拡大を狙っています。現在は薬剤師の増員による対応ですが、将来的には登録販売者を起用する予定で、同社では一般社員の大半に登録販売者の資格を取らせる方針。今後も新宿や渋谷など未明までにぎわう繁華街での展開を検討していく予定です。

●スギ薬局
専門性に応じて薬剤師と登録販売者を使い分ける戦略。調剤薬局を併設する「スギ薬局」に薬剤師を重点的に配置する一方、完全子会社化したディスカウントストア「ジャパン」を大衆薬や日用品を低価格で販売するドラッグストアに転換しました。ジャパン店舗では登録販売者を有効活用し、販売管理費を抑えて利益を生み出す計画。2つの店舗ブランドを操り、各々の収益構造を並立させる狙いです。

●セイジョー
取扱品目を化粧品に特化した「化粧品特化型」、調剤薬局を併設する「医療特化型」、日用品を中心に低価格競争に対応する「価格訴求型」など3〜4の営業形態を使い分ける方針。それぞれに薬剤師、登録販売者、ビューティーカウンセラー(社内資格)など有資格者を配して販売効率を維持しながら、異なるビジネスモデルを組み合わせていく戦略です。
●主なドラッグストアの平均的な粗利益率
4.マーケット拡大が期待される医薬品通販
 今回の改正ではもう一つ大きなポイントがあります。通販の規制緩和です。
これまで医薬品の通販は、うがい薬や胃腸薬の一部をはじめ、口腔咽喉薬、痔疾用薬の一部、殺菌消毒薬、鎮痛鎮痒収斂消炎薬(ちんつうちんようしゅうれんしょうえんやく)、しもやけあかぎれ用薬、コンタクトレンズ装着液、ビタミン製剤、歯痛歯槽膿漏薬(しつうしそうのうろうやく)など原則7薬効群に限られていましたが大幅に拡大されることになります。
どんな医薬品に適用されるのかというと、リスクが比較的低いCランクの成分を含む医薬品です。具体的には7薬効群を含む一般用薬274成分と生薬107成分にまで広がり、これにより今まで以上にさまざまな医薬品が通販(インターネット販売等)で取り扱われることになります。
医薬品通販もサプリメント通販同様、TV、新聞、雑誌、折込チラシ、インターネット、携帯サイト、ワンセグ放送と多様なメディアへと販路を拡大し、大きなマーケットとなる可能性がありそうです。
●通販可能な医薬品
5.まとめ〜新たな印刷需要への期待
 今回の改正薬事法は、飽和状態、沈滞傾向にある医薬品業界にとっては新規参入者を招き入れるマイナス要素である一方、高齢社会、健康志向と相まって業界そのものを大きく活性化するプラス要因に働くことが期待されています。
内外メーカー間の競争、大衆薬の需要増大による新薬vsジェネリック医薬品の攻防、既存ドラッグストアvs新規参入組のシェア争奪戦など、大幅な勢力地図の描き換えが進むなか、消費者に支持されるための広告・販促活動も加速するでしょう。
販促ツールはもちろん、ポイントシステムや会員システムなどのサービス戦略の拡充、新たな求人需要、新たな社員教育システムの確立、新たな資格者育成に関する資料類の増加なども考えられます。また医薬品だけではなく、医療機器の品質管理面からの規制も強まり、添付文書・取扱説明書の再整備も見込まれています。
医療業界全体の動向を注視して、ニーズに的確に応えられる体制づくりが不可欠といえそうです。
●予想される新たな印刷需要
 
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