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改正薬事法で活性化が進む医薬品ビジネス<第1回>
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
改正薬事法で活性化が進む医薬品ビジネス
<第1回>
2007/7/10
1.国家予算を圧迫する国民医療費抑制という社会背景
2.改正薬事法のポイント〜見直される一般用医薬品の販売ルール
3.販売方法に大改革をもたらす、一般用医薬品の3分類
4.新資格の登場でますます激化必至のドラッグストア戦線
5.拡大が予想されるジェネリック医薬品市場
6.まとめ
1.国家予算を圧迫する国民医療費抑制という社会背景
 「健康は第一の富である」という、アメリカの思想家であり詩人であるR.W.エマーソン(1803-82)の言葉にもあるように、健康はどんなに不況の時代でも人々の関心を集める重要なテーマ。特に「医療」や「医薬品」は、病気による痛みや苦しみからの解放には欠かせない存在です。
このことを象徴するように、1970年に約2.5兆円だった日本の国民医療費は、高齢社会の到来ということもあり、最新の統計である2004年にはなんとその10倍以上の約32兆円に膨らんでいます。
今回の改正は、国家予算の大半を占め財政を圧迫するこの国民医療費を抑えるため、必要以上に病院にかかることをやめ、「自分でできることは自分でしよう」というセルフメディケーション(自己健康管理)の考えが反映されています。
●国民医療費と対国民所得比の年次推移
2.改正薬事法のポイント〜見直される一般用医薬品の販売ルール
 改正薬事法の最大のポイントは、一般用医薬品の販売方法の見直しです。
従来の薬事法では、医師の処方箋によって調剤を行う薬局はもちろん、薬理作用が強い大衆薬(指定医薬品)を販売する薬店(一般販売業)も薬剤師の常駐が義務付けられていました。
ところが人材は病院や製薬会社に偏り薬局・薬店は薬剤師の確保が困難なのが現状で、厚生労働省の全国調査(2002年)では指定医薬品を売る薬店の16%、薬局の2%弱で薬剤師が不足していたといいます。また、購入する側にも、よく名前を聞く大衆薬だからと、効能・効果や副作用のリスクなどの情報を求めずに購入し健康被害を起こしてしまうという実態があります。
この解決策として今回採用されたのが、副作用などのリスクによる一般用医薬品の分類と、「登録販売者」による店舗販売業を新設するというプランです。
3.販売方法に大改革をもたらす、一般用医薬品の3分類
 一般用医薬品の分類は、その危険度を明確にランク分けすることによって、販売する側にも購入する側にも、大衆薬の適正な説明販売と使用の自覚を促し、副作用などによる健康被害を防ぐことを目的としたものです。
具体的には、一般用医薬品が含む成分の“リスクの高さ”を、「副作用」「ほかの薬との相互作用」「効能・効果」などから評価し、
Aランク:特にリスクが高いもの(一部の毛髪用薬や点眼薬など)
B ランク:リスクが比較的高いもの(風邪薬や解熱鎮痛剤など)
Cランク:リスクが比較的低いもの(ビタミン剤など)
の3つのグループに分類されます。また、このA−Cの分類は、すべての一般用医薬品のパッケージや容器に表示されるようになります。
一般用医薬品の販売方法は、この分類に応じて新しく変わることになるのです。
●改正薬事法による大衆薬の分類と販売条件
4.新資格の登場でますます激化必至のドラッグストア戦線
 このリスク分類による販売方法を担う役割として改正薬事法で新設されるのが、大衆薬を販売する資格「登録販売者」です。
3分類された一般用医薬品のうちAランクの薬は、リスクの程度に応じた情報提供ができるように必ず薬剤師がいる薬局での対面販売が義務化され、購入者が求めなくても情報提供する必要があります。
一方、B・Cランクの薬の場合は、販売者が薬剤師ではなくても、新設の「登録販売者」資格を有していれば販売できるようになります。つまり、これまでB・Cランクの大衆薬だけを販売していた薬店は、薬剤師の常駐を必要とする「一般販売業」から、登録販売者を置けばよい「店舗販売業」に変わるのです。
この新しい制度により、一般のスーパーやコンビニ、健康関連施設などの新規参入組を含めてますますドラッグストア戦線が激化することが予想されています。
登録販売者の資格は2008年春以降に各都道府県により順次実施される試験(年数回)に合格し、都道府県知事に登録すれば得られます。この新しい制度は2009年6月までに開始される予定です。
●改正薬事法で変わるもの
5.拡大が予想されるジェネリック医薬品市場
 最近、TVCMなどで“ジェネリック医薬品”の名がよく聞かれるようになりました。
一言で言えば、特許切れの先発品を真似た後発の医薬品(厚生労働省の承認により製造)のことです。新薬開発の膨大な費用がかからないため、長期間使用されてきた実績を持つ先発品と同じ成分で、同じ効き目なのに価格を安く設定できるのが特長です。欧米では先発品の商品名ではなく有効成分の一般名(generic name)で処方されることが多いことから、「ジェネリック・ドラッグ」または「ジェネリック・メディシン」と呼ばれています。
医療費抑制が叫ばれ、良質で安価な医薬品が求められている現在、日本の医薬品市場ではジェネリック医薬品はこれまでマイナーな存在でした。しかしながら、その有効性と安全性に加えて安価なことから、改正薬事法による販売ルールの変化を追い風にして市場を急速に拡大すると予想されています。
●新薬とジェネリック医薬品の1ヵ月の薬代比較の例
6.まとめ
 少子高齢社会が進展していく中で、家計に占める医療費の割合はますます増加する傾向にあります。見方を変えれば、今回の改正薬事法は、新規参入組も含めた医薬品およびヘルスケア業界にとって、この大きなパイを争奪する戦国時代の幕開けを告げるものです。
そこで次回は、活性化する医薬品・ヘルスケアビジネスの現況と将来を概観するとともに、印刷業界にどのような波及効果が期待できるかを探っていきたいと思います。
 
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