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ますます可能性が拡がってきたRFIDの現在と未来<第1回>
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
ますます可能性が拡がってきたRFIDの現在と未来<第1回> 2007/5/10
1.期待高まるICタグ・ビジネスの主役
2.拡大する市場規模 2010年度には現在の30倍以上に
3.活況を呈しはじめたRFID業界のいま
4.まとめ
1.期待高まるICタグ・ビジネスの主役
 RFIDタグについては、当グリーンレポート2004年5〜7月掲載の『無線ICタグ(RFIDタグ)の現状と今後』として過去にも特集を組んだことがあります。詳しいことはそのバックナンバ−を参照していただくとして、まずは簡単におさらいしておきましょう。
RFIDタグ(=無線ICタグ)の“タグ”とは「荷札」のことで、1mm以下という極小のICチップと金属製のアンテナを搭載し電波や電磁波で読み取り機と交信をします。最近ではアンテナ側からの非接触電力伝送技術により電池不要で半永久的に利用できるタグも登場しており形状はさまざま。通信距離も数mm程度〜数mのものがあります。
また機能性においても進化を続けており、例えば、電子マネーを取り上げてみても、業種を超えたさまざまな企業が発行するポイントやマイレージとの連携やICチップに登録されている顧客情報を基にした「個客別」のきめ細かいサービスの展開など、CRM(customer relationship management)やセキュリティを強化するツールとしての活用も含めて幅広い用途が見込まれているスグレものなのです。
このような特長を強みにして無線ICタグ技術の中核的ポジションを占めているRFIDですが、すでに皆さんご存知のSuicaやEdy、i-mode-Ferica、さらに最近でいえばPasmoなど、今花盛りのICカード、ICタグ・ビジネスの主役の座に君臨しつつあるのです。
●ICタグの需要分野別構成比(数量ベース)
2.拡大する市場規模 2010年度には現在の30倍以上に
 この4月3日に発表された矢野経済研究所の非接触ICカード及びICタグ市場を対象とした市場調査結果を見てみると、数量ベースで2005年度は4,440万枚だった国内の非接触ICカード・RFID市場の総市場規模は、2006年度には5,600万枚になる見込みとのこと。さらにこのままのペースで伸びていくと仮定すれば、2010年度には18億8,400万枚と、2006年度見込みの30倍以上になると推定されているようです。
同調べによれば、非接触ICカードの2006年度見込み需要分野別構成比は、流通分野(電子マネー、プリペイドカード、ポイントカードなど)が8.9%、アミューズメント分野が9.1%、交通・運輸分野が12.5%、ID分野が9.8%、行政分野が0.7%。
またRFIDの2006年度見込需要分野別構成比は、製造分野(FA関連)が12.5%、流通分野(小売関連等)が8.9%、物流分野(輸送・倉庫関連)が15.2%、アミューズメント関連分野(タグ)が4.5%、レンタル・リース関連分野が1.8%。
今年1月に発表された別の民間予測では、ICタグ関連の市場規模は2012年には9倍になるとの見方もあり、いずれにしても社会の仕組みや人々の生活そのものに大きな影響を与えるポテンシャルを秘めていることは間違いないようです。
●ICタグの市場規模(数量ベース)
●ICタグと小型コンテナを使った流通システムのイメージ
3.活況を呈しはじめたRFID業界のいま
 製造業・物流業をはじめ、あらゆる業種業界で積極的に導入が検討されているRFIDタグですが、まずは従来から導入が見込まれていた物流・流通・交通・セキュリティなどの分野における現状について一通り見てみましょう。
1)物流
物流関連では、日本航空と日本ユニシスがICタグを使った貨物計量システムを開発したのをはじめ、ICタグを活用したコスト削減・効率化の動きが顕著です。
幾つか事例を挙げると、ヨドバシカメラでは、2万箱を対象に物流コンテナをICタグで管理することにより検品の工程を省略化し、コスト削減を図る取り組みに着手しました。また、富士ゼロックスは追跡環境テクノロジーを導入した100回以上使える梱包材を開発。三井物産とモスフードサービスは共同で生鮮野菜の物流網や生産情報などの管理を容易にするためのICタグを活用したシステムの開発を進めています。
特に、食品・外食関連を中心に求められるトレーサビリティ、「食の安全」システム市場に関しては、総務省の研究会が2015年には1兆2,000億円規模になるとの予測を発表しており、ICタグはその大変革を担う重要なカギを握っていると言えます。
●立ち読みと売れ行きの関係
2)流通
流通業界では、コスト削減や効率化という観点よりも“サービスの向上”をキーワードとしたICタグの活用事例が目立っています。
まずユニークなところでは、富士通・三越・資生堂が共同で取り組んでいる化粧品のICタグ実証実験「仮想リアルタイムメークアップシステム」があります。これは、ICタグの入った化粧品サンプルを読み取り機にかざすとメーク後のシミュレーション画像がモニターに表示されるシステムで、実際にメークする手間や煩わしさを省いて気軽に新商品にアプローチしてもらえる顧客の利便性に配慮したものです。
またファミリーマートでは、昼食時などのレジの混雑の解消を図るため、ICタグでカゴごと瞬時に決済できるシステムを実験。電子マネー、現金どちらにも対応できる仕組みとして追究しています。
そのほか、出版界でもICタグを使った流通実験を開始しており、立ち読みが実売につながるかどうか、売れ行きとの関係を検証・分析する取り組みを行っています。
●非接触ICを使った主な決済サービス
3)交通
一般の生活シーンの中に定着し、大きな変化を見せている代表例が、SuicaやIcocaをはじめとする非接触型ICカード乗車券です。
カードケースに入れたままでも読み取り機に軽くかざすだけでOKという手軽さに加えて、電子マネー機能を併せ持つものもあり、ここ最近急速に普及しはじめています。
東京、横浜を中心とした私鉄・地下鉄・路線バス事業者が加盟して3月18日からサービスを開始したPasmoにいたっては、Suicaより15日も早く、発売開始から4日間で100万枚を突破する猛烈な勢いです。民間の調べでは、これら交通運輸の需要拡大によってICタグの2006年度の国内出荷は26%増にもなると見られています。
4)セキュリティ
増加・悪質化する子どもを対象とした犯罪。ICタグはそれを防止する切り札としても大きな期待が寄せられています。
昨年秋には、関西の私鉄で通学用のIC乗車券を持つ子どもについては、改札を通った際に保護者にメールが送られるシステムをほぼ全駅で整備。関東では、東急グループが同様のシステムの展開を図っています。
セキュリティ大手のセコムでは昨年12月からICタグとGPSを活用して登下校を確認し、子どもの位置通知を保護者に自動メールするサービスをスタート。子どもが楽しみながら職業体験ができる東京・豊洲にある人気のキッザニア東京でも、ブレスレットにICタグを組み込んで連れ去りを防ぐ試みをしています。
4.まとめ
 以上のように、私たちの生活シーンを劇的に変えてしまいそうなRFID及びICタグ普及の勢いですが、この流れは上記に掲げた業界にとどまりません。
一方、普及の加速度が増してきたと言われる電子マネーを支払いの際に優先する人が、規格乱立の不便さから6%程度にとどまっているとの話もあり、RFIDやICタグにはまだまだ解決しなければならない課題が多くあるようです。
いずれにしても躍進著しいRFIDが私たち印刷業界にどのような影響を及ぼすことになるのか、皆さんも期待と不安が入り交じった心境ではないでしょうか?
そこで次回は、すでに先手を打ってRFID関連事業に積極的に取り組んでいる大日本印刷や凸版印刷などの大手をはじめとする印刷業界におけるRFIDの動きに加え、各界に拡大するRFIDの可能性を概観しながら、私たち印刷業界にどのようなビジネスチャンスが巡ってくるのかを探りたいと思います。
●RFIDの基本構成
 
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