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郵政民営化で、過熱する物流戦争<第2回>
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
郵政民営化で、過熱する物流戦争 <第2回> 2006/6/9
1.DM市場における競争
2.航空貨物市場における競争
3.信書便事業において新需要は誕生するか
4.まとめ
1.DM市場における競争
 日本郵政公社と民間企業との争いは、DM市場でも展開されています。DM需要の喚起を図るべく日本郵政公社が開発したタウンメール(配達地域指定郵便物)の利用が着実に広がっています。このサービスは郵便番号によって配達したい地域を特定し、宛名を印字しなくても地域の全戸に郵便物が届く仕組みで、通常の郵便に比べ割安なこともあり、投げ込みチラシからの需要シフトも予想されています。
さらに今年の2月1日、企業の大量文書やDMの発送需要を取り込む狙いで、三菱UFJ信託銀行との共同出資会社「JPビズメール」を設立。印刷から封入、発送、配達など一連の業務をまとめて請け負う体制を整えることで、他の民間企業との差別化を図ろうとしています。
一方、ヤマト運輸は4月3日、ドイツポスト・ワ−ルドネット傘下の「DHLグロ−バルメ−ル・ジャパン」との合弁会社「ヤマトダイアログ&メディア株式会社」を設立。企業向けにDMの企画や送り先の選定などを助言することでDM受注拡大につなげ、3年後に売上高100億円を目指しています。提携先となるドイツポスト・ワ−ルドネットは世界最大の郵便・物流企業で、DMについて十分なノウハウを持つ企業です。新会社では独自に構築するデータベースを使い、商品やサービスの特性に合わせた送り先の選別をしたり、レイアウトの企画から、印刷、配送までを一貫して手掛けたり、配達後の顧客の反応を把握して次回のDM戦略に反映させるなど、自らのノウハウを生かした商品を提供します。お客様に対して付加価値の高い提案と事業スピ−ドを図ることで、日本郵政公社との違いを鮮明にしています。
こうした競争が、すぐにでも印刷需要の増加につながるわけではありませんが、少なくとも印刷会社に新たなビジネスチャンスをもたらすことが予想されます。
2.航空貨物市場における競争
 2つの新しい貨物航空会社による航空貨物サービスが、今年の8月から始まります。その会社とは、全日本空輸と日本郵政公社の合弁会社「ANA&JPエクスプレス」と佐川急便が設立した「ギャラクシーエアラインズ」。人口減少時代の到来で航空旅客需要の頭打ちが予測されるなか、景気回復の追い風もあって航空貨物市場は現在成長が続いており、輸送時間短縮を求めるニーズがさらに高まっていると言われています。 2月に全日空が設立したANA&JPエクスプレスは、書類はもちろん、電子部品や食材など様々な積み荷を運ぶ方針で、「将来は貨物事業をグループの総売り上げの3分の1まで引き上げたい」(全日空・山本峯生社長)としています。8月からは関西−上海に週2便、10月からは中部−シカゴに週2往復就航する予定で、シンガポールや台湾にも路線網を広げる計画も浮上しています。
一方、ギャラクシーエアラインズは、8月から羽田−新北九州、那覇に深夜・早朝便を就航させるほか、北海道へも路線を広げる方針です。その背景には、トラック輸送では翌日配達できるエリアに限界があるうえ、他社の航空輸送を利用する場合でも深夜・早朝便が少ないという事情があります。宅配便の翌日配達エリアを拡大することで、今年度は約40億円の売上げを目標に掲げています。
こうした物流事業者の新しい参入により貨物市場はさらに活性化が見込まれ、印刷業界にも大きな影響を及ぼすと言えそうです。
3.信書便事業において新需要は誕生するか
 日本郵政公社が発足した2003年4月に施行された信書便法によって、これまで日本郵政公社が独占してきた、はがきや手紙などの「信書」分野において、民間事業者の参入が認められるようになりました。信書便には、全国でサービスを展開する全面参入型の「一般信書便事業」と、取り扱う信書のサイズや重量、配達時間などに条件を設けたサービス型の「特定信書便事業」の2つがあります。
解禁以来、特定信書便事業には130を超える企業が参入しています。ところが、一般信書便事業へは、全国で約10万本のポストの設置を義務づけるなどの条件があり、現在まで民間参入は1社もありません。日本通運が2月から始めた全国規模の信書便事業も、配達料金が1,000円超に限った「特定信書便事業」です。
小泉首相は昨年10月、国会で「民間が参入しやすいように規制を緩和した方がいい」「(ポストが)10万本が固定される必要はない」などと述べ、参入条件を緩和する考えを表明。また、「郵便におけるリザーブドエリアと競争政策に関する研究会」の座長である高橋温住友信託銀行会長も「当然見直す」と言明しています。竹中平蔵総務相の私的研究会でも、郵便事業への民間参入促進策が検討されています。
現在、日本郵政公社が取り扱う信書は、年間約200億通を超えます。いつどのような形で、一般信書便事業の民間参入促進策が導入されるか現段階では分かりませんが、一般信書便事業に新しく民間業者が参入することで、印刷物や帳票類の新規需要につながるかもしれません。今から情報収集など準備をしておかなければならないでしょう。
4.まとめ
 これまで2回にわたり、郵政民営化を前に、日本郵政公社と民間業者における激しいサービス競争を見てきました。郵政民営化によって、新しい需要が生まれる可能性がある一方、郵便事業を引き継ぐ郵便事業株式会社がDMの印刷などにおいて、私たちのライバルとなる可能性もはらんでいます。今後の動向に注意を払うとともに、顧客に対しては物流業界の動きに合わせた新しいサービスの提案が必要ではないでしょうか。
 
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